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第5回造船雑学講座

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皆さんこんにちは!
株式会社ユーキ.ディープラント、更新担当の中西です。

第4回「人気塗料と特徴」に続く、第5回造船塗装雑学講座は、**「用途別おすすめ塗料の選び方と施工ポイント」**をお届けします。船舶の各部位や運航条件に最適な塗料選定と、長持ちさせるための施工のコツをご紹介します♪


1. 船底用防汚塗料の選び方と施工

① アブレイティブ(自己研磨型)塗料

  • 特徴:航行時の摩擦で塗膜表面が徐々に剥がれ、常に新しい防汚面が現れる

  • 適用:高速艇やフェリーなど、頻繁に航行する船舶

  • 施工ポイント:下塗りのエポキシプライマーを確実に乾燥させ、均一に中塗り→上塗り。気温15℃以上、湿度80%以下で塗布。

② シリコーン系(非粘着型)塗料

  • 特徴:表面が非常に滑らかで、海洋生物が付着しにくい。剥がしやすく、ドライドッキングで清掃が容易

  • 適用:貨物船、タンカーなど長期航海向き

  • 施工ポイント:下地に適切なプライマー(シリコーン対応)を塗布し、メーカー推奨のシーラーを挟むことで密着性を向上。


2. 防食(防錆)塗料の選び方と施工

① エポキシ樹脂系プライマー

  • 特徴:優れた防錆性と密着性を発揮し、上塗り塗料との相性も良い

  • 適用:水線上部や内部構造物の鋼板面

  • 施工ポイント:鋼板表面のサンドブラスト処理(SA2.5相当)後、速やかにプライマーを塗装し、ブリスターを防止。

② ポリウレタン系トップコート

  • 特徴:耐候性・耐紫外線性に優れ、美観も保持

  • 適用:上部構造物、デッキ、船橋まわり

  • 施工ポイント:エポキシプライマー+中塗りエポキシフィラーの上に、塗り重ね間隔を守って2回塗布。塗膜厚は200~300μm。


3. 耐摩耗塗料の選び方と施工

① ウレア変性ポリウレタン

  • 特徴:高硬度でキールやバラストタンクなど摩耗の激しい箇所に最適

  • 適用:デッキウォーク、錨巻場、プロペラハウジング

  • 施工ポイント:適切なシンナー希釈でノンスランプ性を確保。湿度70%以下、塗装面温度は3℃以上の環境で施工。

② セラミック配合塗料

  • 特徴:セラミックビーズが塗膜に混入され、摩耗抵抗が大幅に向上

  • 適用:スクリューシャフト、ラダー機構部

  • 施工ポイント:ビーズが沈殿しないよう、定期的に攪拌しながら塗布。膜厚管理を厳守。


4. 特殊用途塗料の選び方

① 耐熱塗料

  • 用途:エンジンルームや排気管まわり

  • 特徴:300℃以上の高温に耐えるシリコーン樹脂系

  • 施工ポイント:脱脂・サンドペーパー研磨後、専用プライマーを併用し、2液混合比を厳守。

② 耐薬品塗料

  • 用途:化学薬品を扱うタンカーの貨物タンク内面

  • 特徴:耐酸・耐アルカリ性に優れるフッ素樹脂系

  • 施工ポイント:塗布前に表面をPH中和し、完全乾燥後に複層塗り。


まとめ—用途に合わせた塗料選定と確実な施工が長寿命化の鍵

  1. 船底:アブレイティブ or シリコーン系で航行条件に合わせる

  2. 防食:エポキシプライマー+ポリウレア/ポリウレタンで錆止め&耐候性確保

  3. 耐摩耗:ウレア変性 or セラミック配合で摩耗激しい部位を保護

  4. 特殊用途:耐熱・耐薬品塗料でエンジンルーム・貨物タンクに対応

株式会社ユーキ.ディープラントでは、最適な塗料選定から施工管理まで一貫サポート。過酷な海洋環境でも安心の塗装品質をお約束します。ぜひお気軽にご相談ください!


次回は第6回として、**「塗装品質を支える下地処理の極意」**をお届けします。表面処理のポイントを詳しく解説しますのでお楽しみに!